右近ルフィ

猿之助さんの怪我から1週間がたち、“代役”尾上右近さんの評判が目に入ってくるようになりました。

たしかに猿之助さんの代役ではあるのですが、怪我の前日にすでに若手中心の『麦わらの挑戦編』の幕があいています。そのことを知らずに“代役代役”と呼ぶ報道に、違和感を感じていたファンの方も多かったのではないでしょうか。

ようやく先日、今回の右近さんの役目を正しく伝え、その上で右近ルフィに拍手を送ってくれる記事を目にし、とても嬉しく思っています。

私がいつ尾上右近さんを認識したのか、定かではないのですが、最初に印象に残ったのは6年ほど前に観た『身替座禅』の侍女役の美しさだった気がします。

その後いくつかの舞台で拝見し、前回の『ワンピース』博多座でのサディちゃん役ではずいぶん楽しませてもらいました。でもそれ以上に私の心を捉えたのは、昨年7月の歌舞伎座『柳影澤蛍火』でのおさめの方でした。

まわりは海老蔵さん、猿之助さんはじめ、それ以上の大先輩の中に、ただ一人若い右近さんが入っていました。海老蔵さん演じる柳澤吉保は、許嫁であるおさめを将軍に差し出すことで出世していきます。

初めは吉保を一途に想う可愛らしいおさめが、利用されたとわかってもなお吉保のために強くしたたかな女性になっていく、哀しくも魅力的なお役でした。

猿之助さんの復帰を待ちつつも、右近さんのルフィを観に行こうと思います。