初歌舞伎の記憶

初めての歌舞伎はあまりに突然だったため、何の準備も心構えもありませんでした。

通常劇場にはその月の公演の無料のチラシが置いてあり、演目とあらすじ・出演者などが書いてあるのですが、そのなものがあることすら知りませんでした。

 

かなり後になってその月の演目は確認できたのですが、その日覚えた演目は『髪結新三(かみゆいしんざ)』ひとつだけでした。中村勘三郎さんの当たり役といわれるこの『髪結新三』、亡くなられたあとテレビで見る機会がありました。出演者はほとんど違いましたが、改めて見ると面白さがよくわかりした。

主人公の新三・タイトル通りの髪結いなのですが、腕には刺青があり裏の顔を持っています。人の好い忠七とその恋仲のお熊を上手く丸め込んで大金を手に入れようとたくらむ新三。騙されたと知り川に身投げしようとする忠七、それを助けた弥太五郎源七という男が新三の元へやってきます。この辺りの顔役・親分なのですが、結局新三にやり込められて帰って行きます。さらには新三の長屋の大家である長兵衛が来て知恵比べのようなやり取りが続きます。

 

髪結いから徐々に、忠七→弥太五郎源七→長兵衛を相手に次々と悪の本性を現していくのですが、どこか愛嬌があってかっこよくて、色気すら感じました。

 

いずれ勘九郎さんで観てみたいです。

 

 《初めての歌舞伎、または演目を観るとき》

 有料ですがイヤホンガイドというものを借りられますので、予習をしていなくても大丈夫です。お芝居に合わせて役柄や役者の名前、時代背景などをわかりやすく解説してくれますし、観たことがある演目であっても新たな発見があることもあります。興味のある方は一度使ってみてください。